2020-08-16 まくらに歯 詩 町屋のにおいぬぐう 雨のゆびのびゆき 鎖骨かきわけ 肉をたずさえ わたしはまるで 真円ではなかった 秒針 、 そのひと振りの隙目に 居間のだるまさん達が転がり 魚影が天窓をかすめてゆく 波打つ寝具は口吸うように 足うしなった暮らしを舐めとる 耳を閉じ) 赤子の寝姿を真似てみる 冷めた珈琲に混じりこんだ あさ 戸棚を開けたがる半熟の あさ 頬ずりはいつだって欠かさずにいたのに わたしたちすぐに 忘れてしまった